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本講座では、「がん」の病態の解明を目指しています。「がん」は遺伝子病であると定義されていますが、「がん」の増殖能や浸潤・転移能は遺伝子・分子異常によって一義的に決定されるものではなく、例えば「がん」細胞のおかれた微小環境が重要な役割を担います。腫瘍環境は多彩な細胞を基質で構成される含む不均一な集合体であり、この複雑な構造こそが「がん」組織の不均一性の本態と考えています。本講座では前立腺癌の微小環境を構成する脂肪細胞やactiveな線維芽細胞の機能的な役割を解明し、がん微小環境を標的にした新規治療法の開発を目指しています(図1)。
また、主役である「がん」細胞自体の解明も行なっています。色々な刺激で変動する遺伝子を網羅的に解析し、抽出した遺伝子の機能的解析を行なっています。前立腺「がん」細胞への遺伝子導入により、その遺伝子の機能を解析し、診断・治療への可能性を探っています(図2)。
病理研究では、病理組織学的標本等の検体が利用されますが、培養細胞や実験動物の利用もあります。近年、動物代替の動きが強まり、in vitro系での生体の環境の再構築が求められています。前立腺「がん」の微小環境を再構築し、色々な因子を抽出し、臨床病理への応用を目指しています(図3)。
病理研究には、次世代シークエンス解析等の色々な手法が取り入れられています。ナノテクノロジー等の新技術を利用した「がん」研究を率先して行っていきます。
本講座は、修復再生病理学講座と協同して、附属病院病理部(病理診断科)を支援し、病理解剖や診断業務に関わっています。研究のミーティングのみならず、各「がん」の専門家である病理診断科の医師と最新の病理診断等に関わる抄読会も定期的に行なっています。病理専門医を目指す方は、「がん」の基礎、臨床病理学的研究だけでなく、病理の一体化したグループの中でトレーニングを積むことができます。
研究テーマ | |
氏名 | 研究テーマ |
渡邉 昌俊 | ナノメディシン、ナノトキシコロジー 、分子病理 |
広川 佳史 | 前立腺がんを中心とした腫瘍細胞生物学 |
今井 裕 | 悪性リンパ腫の病理、胃癌におけるHER2増幅のメカニズム |
小塚 祐司 | 乳腺腫瘍の臨床病理 |
林 昭伸 | デジタルパソロジー、皮膚病理 |
湯淺 博登 | |
三室 マヤ | 神経変性疾患の臨床病理 |