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治療方法

 軟部腫瘍は軟部組織に発生する間葉系由来の腫瘍性病変と定義できる。
良性軟部腫瘍と悪性軟部腫瘍(肉腫とも言う)とは治療方針が大きく異なる

I.良性軟部腫瘍の治療方法

 良性腫瘍は、特に症状がない場合は放置してよいが、疼痛を有する場合(グロームス腫瘍、血管腫、など)は手術適応がある。腫瘍を辺縁切除する。神経鞘腫の場合は正常の神経を傷つけることのないよう注意しながら核出術を行う。
 また、脂肪腫は良性腫瘍であるが、10 cmを超えるような巨大腫瘍の際は、脂肪腫様の高分化型脂肪肉腫の可能性があるため、やはり切除ずることが望ましい

II. 悪性軟部腫瘍の治療方法

  1. 化学療法
    軟部肉腫に対して、ビンクリスチン、アドリアマイシン、シクロホスファミド、DTIC、シスプラチン、イフォスファミド、エトポシドが使用され、これらを組み合わせた様々な投与スケジュールが考えられてきた。
    横紋筋肉腫、骨外性ユーイング肉腫、リンパ腫は抗癌剤に対する反応性が一般的に非常に良いために、診断が着いた時点で早急に化学療法を開始する。
    我が国において、成人発生の紡錘形細胞肉腫に対して有効性が確認されて保険診療での使用が認められている抗腫瘍薬はアドリアマイシンとイフォスファミドのみである。欧米では、ゲムシタビン+ドセタキセルも標準的治療薬として使用されている。滑膜肉腫は化学療法が有効な場合が多いので、可能な限り行うのが望ましい。しかし、未分化多形肉腫、血管肉腫などには無効のことがも多い。患者との充分なインフォームド・コンセントが重要である。
    近年、分子標的治療薬であるVEGFR、 PDGFRおよびc-Kitに対して阻害作用を示すマルチキナーゼ阻害剤であるパゾパニブが,2012年に使用可能になった。悪性軟部腫瘍に対する初めての分子標的治療薬であり、今後さらにその有効性が検証されるだろう。

    脂肪肉腫は脱分化型脂肪肉腫、粘液型脂肪肉腫に対しては抗癌剤の有効性を確認した報告はあるが、高分化型脂肪肉腫は元来予後が良いため、抗癌剤治療は必要ない。
  2. 手術療法
    腫瘍の取り残しの無いよう、腫瘍広範切除術を原則とする。四肢に発生した場合、可能な限り患肢温存術を行う。骨にも進入している場合には骨も切除し、必要に応じて腫瘍用人工関節を用いる。腫瘍が神経から発生している場合には神経も合併切除する必要がある。大血管を巻き込んでいる場合には、切断術を選択せざるを得ないこともある。
  3. 放射線療
    腫瘍が神経血管に接している場合には、手術前に神経血管との距離を広げる目的で放射線療法を行うことがある。また、手術療法だけでは再発を来す可能性が高い症例に、術後、補助的に放射線療法を行うことにより局所再発を抑制することが出来る。ユーイング肉腫、横紋筋肉腫は放射線感受性が高いため手術と併用することを推奨する報告もある。

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