研究内容紹介

神経難病支援(成田)

神経難病とは

 日本では神経疾患のうち、筋萎縮性側索硬化症(以下ALS)、パーキンソン病関連疾患(パーキンソン病[以下PD]、進行性核上性麻痺[以下PSP]、皮質基底核変性症[以下CBD])、多系統萎縮症(以下MSA)、脊髄小脳変性症(以下SCD)、多発性硬化症(以下MS)などの変性疾患・自己免疫疾患など比較的頻度の低い疾患は、厚生労働省の難病(特定疾患)として認定されています。これらを総称する用語として、私どもは「神経難病」を用いております。
 なお、脳の変性疾患にはアルツハイマー病など認知症性疾患も含まれます。また、脳血管障害も重篤な後遺症を残し、患者・介護者に多大な苦難を強いています。しかしながら、この両者(アルツハイマー病等の認知症性疾患や脳血管障害)は、疾患頻度が高いため、厚生労働省の特定疾患には含まれておりません。他の支援枠組みでの対応が期待されています。
 厚労省の難病情報センターのURLは下記のとおりです。
 http://www.nanbyou.or.jp/entry/1360

重症神経疾患患者支援(多職種連携と神経難病への緩和ケアを含めて)

 重症神経疾患患者支援は、どちらかというと「研究」や「証拠」というものには縁遠い領域です。しかし、現在の医療においては欠くことができない領域でもあります。私どもは、2003年より県難病医療連絡協議会や厚労省科研の分担を担当してきました。筋萎縮性側索硬化症(ALS)やハンチントン病(HD)の県内訪問調査等を実施し、問題点と提案を報告してきました。2009年「重症難病患者の地域医療体制の構築に関する研究」班(糸山泰人班長)のプロジェクトより「難病患者のコミュニケーション支援」を担当してきております。2010年以降、毎年難病患者のコミュニケーションIT機器支援ワークショップを開催し、2014年11月には第6回の同ワークショップを開催しました(鹿児島、第2回日本難病医療ネットワーク学会、福永秀敏先生会長、2日目午後)。私どもは、引き続き重症神経疾患の患者・家族を支援(緩和ケアを含む)して行きたいと考えています。

第一回コミュニケーションIT機器支援ワークショップ
(2010年1月30日 仙台)

「神経難病のレスパイト入院に関する実態調査」について

 神経難病をお持ちの方の支援と疾病の原因・病態・治療・予防の研究を目的に昭和47年(1972年)から厚生労働省特定疾患の制度が整備されてきています。しかし、これら神経難病患者さんの在宅療養は、介護および医療的処置の必要度の高さから、その継続が非常に困難で、社会問題ともなっております。現在、ALSなどの神経難病患者さんが在宅医療を継続するためには「レスパイト入院」の必要性が重視されています。(レスパイト入院:在宅療養患者が一時的に入院することで、家族介護者の休息の機会をつくり、介護負担を軽減する目的の入院)
 この度、私どもは厚生労働省難治性疾患等克服研究事業(研究代表者 新潟大学神経内科教授 西澤正豊)において、「神経難病のレスパイト入院」に関する実態調査を行うことになりました。
 目的:全国の神経難病患者の療養支援体制のうち、筋萎縮性側索硬化症(ALS)患者の療養状況を中心に、レスパイト入院およびコミュニケーション支援に関する実態を明らかにすることを目的としています。
 本研究の形式は二段階調査です。
 一次調査:レスパイト入院の実態と二次調査への協力可能な医療機関および訪問看護ステーション等を抽出いたします。
 二次調査:医療機関と同意を得た療養者(患者・介護者)からアンケート調査を行います。
 対象と方法:医療機関対象の調査:関連学会のホームページに掲載のALS患者の診療にかかわる可能性のある医療機関等に対して、一次調査として、レスパイト入院に対応しているかどうか、また、二次調査への協力の可否をはがきにより調査します。二次調査の協力同意を得られた医療機関等に対して、詳細な調査票を送付いたします。ご協力の同意は、説明書に明示した上で、返送をもって同意とみなします。
 期待される結果:本研究では、日本の医療において、レスパイト入院がどのように理解され、対応されているか、現状を明らかにし、難病とともに生活されている方々の療養支援、QOL向上につながることを期待しております。ご協力をお願いできれば幸に存じます。

三重大学倫理委員会審査結果通知書 (PDF)

研究計画書 (PDF)
研究説明書 (一次調査用)(PDF)