婦人科グループ

腹腔鏡下手術

1.はじめに

当院では、婦人科良性疾患(良性卵巣腫瘍・子宮内膜症・子宮筋腫など)や異所性妊娠に対して積極的に腹腔鏡下手術をおこなっており、入院期間の短縮・美容面・入院日数の短縮に大きな効果をもたらしています。近年、当院での腹腔鏡下手術件数も増加しています。また婦人科悪性腫瘍に対しても、腹腔鏡下子宮頸癌手術(広汎子宮全摘術)、腹腔鏡下子宮体がん根治術などを積極的におこなっています。

現在当院で行っている手術は、以下の通りです。

子宮筋腫
  • 腹腔鏡下子宮筋腫核出術/腹腔鏡補助下子宮筋腫核出術
    (LM: Laparoscopic myomectomy/ LAM: Laparoscopially assisted myomectomy)
  • 腹腔鏡下子宮全摘術
    (TLH: Total laparoscopic hysterectomy)
卵巣腫瘍・子宮内膜症
  • 腹腔鏡補助下卵巣嚢腫切除術
    (LAC:laparoscopically assisted cystectomy)
  • 全腹腔鏡下卵巣嚢腫切除術
    (TLC:Total laparoscopic cystectomy)
  • 全腹腔鏡下付属器切除術
    (TLSO:Total laparoscopic salpingo-oophorectomy)
異所性妊娠
  • 腹腔鏡下異所性妊娠手術
    (Laparoscopic surgery for ectopic pregnancy)
子宮体がん
  • 腹腔鏡下子宮体がん根治術(Laparoscopicsurgery for uterine carcinoma)
子宮頸癌
  • 腹腔鏡下広汎子宮全摘術(Total Laparoscopic Radical Hysterectomy)
  • 腹腔鏡下広汎子宮頸部摘出術(Total Laparoscopic Radical Trachelectomy)
その他
  • BRCA1/2遺伝子変異保有者に対するリスク低減卵管卵巣切除術(RRSO : Risk-Reducing Salpingo Oophorectomy)

術式により手術時間は変わります。良性の卵巣や卵管手術は1時間程度、子宮筋腫のために子宮摘出が必要な場合は2~3時間かかります。また、子宮内膜症など周囲の癒着が厳しい場合はさらにかかります。
腹腔鏡手術は、4~5か所に小さな穴をあけて手術操作を行います。当院では12mm(臍下または臍上)5mm(左下腹部、右下腹部、 その中間)を使用します。また卵巣腫瘍や異所性妊娠では、さらに細かい5mm及び3.5mmの鉗子での細径術式もしくは1か所の穴だけで手術を行うTANKO術式を行うことも可能です。

2.手術における合併症について

腹腔鏡手術は多くの患者さんにとって低侵襲であることは間違いありません。しかし、合併症がおこらない確率は0ではありませんので術前におこりうる合併症について説明します。
合併症としては出血・感染・発熱・創部離開・他臓器損傷(腸管・膀胱・尿管など)・腸閉塞・肺塞栓・皮下気腫・臀部の発赤などが起こることがあります。

3.開腹手術の可能性について

術中の所見によって高度の癒着がある場合や予期せぬ出血をきたした場合開腹術に移行することがあります。2005年~2013年の全腹腔鏡下手術件数は、608例であり開腹手術に移行した例は計8例(1.3%)(高度癒着5例、出血3例)でした。
我々は常に安全で確実な腹腔鏡下手術を目指しています。

4.輸血の可能性について

腹腔鏡手術で輸血をする可能性はほとんどありません。しかし、予期せぬ出血に備えて輸血の同意書を頂いています。出血が多量となり、生命の危険が及ぶと判断された場合に限り輸血を行います。(輸血および血漿分画製剤など特定生物由来製品の使用に関する同意書・輸血説明書は別にあり)また子宮筋腫など多量の出血が予想される場合には積極的に自己血輸血を行っています。

5.手術記録について

手術は診療記録のひとつとしてDVDに記録しております。このDVDは手術後に原則、お見せしていません。ご了承ください。また、お渡ししたりコピーをしたりすることもできません(カルテと一緒に保管します)。また、この記録は患者さんの氏名などのプライバシーを伏せて、学会や研究会などで使用させていただく場合もあります。なお、撮影できないこともあります。これらのことをあらかじめご了承下さい。

6.麻酔について

手術は、麻酔科専門医が担当し全身麻酔(硬膜外麻酔併用の場合あり)でおこないます。

7.術後の対応について

子宮筋腫核出術後の妊娠は、術後3か月たてば許可しています。また、分娩方法ですが漿膜下筋腫の術後では経腟分娩可能ですが、筋層内筋腫核出術後は原則帝王切開をお勧めしています。担当医にご相談ください。
卵巣腫瘍や異所性妊娠の術後では、術後最初の月経以降妊娠の許可をしています。
分娩方法は経腟分娩となります。

8.腹腔鏡下子宮体がん根治術について

8-1.子宮頸癌に対する腹腔鏡下広汎子宮全摘術について

当院では、2016年12月に子宮頸癌に対する腹腔鏡下広汎子宮全摘術(高度先進医療A)を取得することが出来ました。
さらに子宮頸癌(CIN3,ⅠA,ⅠB,ⅡA,ⅡB)に対するロボット支援下子宮頸癌根治術(da Vinci)手術に対しては、院内に倫理審査委員会の承認を得て、2017年3月に三重県下初婦人科におけるロボット支援下子宮頸癌根治術(da Vinci)手術に成功しました。

8-2.子宮体がんに対する腹腔鏡下子宮体がん根治術について

昨今の腹腔鏡下手術の進歩発展は著しく、ほとんどの婦人科良性疾患が腹腔鏡下手術の適応となります。

悪性疾患に関しましては、この度2014年4月に『腹腔鏡下子宮体がん根治術』が健康保険適応となりました。これは子宮体がん全ての症例が適応というわけではありませんが比較的早期の子宮体がん(※)の患者さんに対し、従来のように大きく腹部を切開する術式ではなく、5~12mmの穴を5~6ヶ所あけるのみで腹腔鏡下に行う術式です。従来法と同様に子宮及び両側付属器(卵巣・卵管)・骨盤内リンパ節を摘出する術式ですが、創部が小さいため創部痛の軽減や早期退院といった効果が期待できます。

この術式には高度な技術と婦人科癌治療の幅広い知識が必要なため、産婦人科内視鏡手術ガイドライン(2013年)にも、婦人科腫瘍専門医と婦人科内視鏡技術認定医の両方が立ち会うことが推奨されています。当院では保険収載前より厚生労働省から先進医療施設認定を受け本術式を施行しており、3名の婦人科腫瘍専門医と1名の内視鏡技術認定医が中心となり安全に本手術を行うことに努めています。

また、術後追加治療として抗がん剤治療が必要な場合においても、日本がん治療認定医の指導下に治療を行っています。

※再発低リスク群子宮体癌:病理組織診断G1ないしG2かつ子宮体部筋層浸潤1/2未満症例

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