胆道がんとは

胆道とは、肝臓で産生された胆汁(脂肪の消化を助ける消化液)が肝内胆管を流れ、胆嚢で濃縮及び蓄積され、再度胆管を通って、十二指腸へ流れ出ますが、胆嚢と胆管を合わせて胆道といいます。また胆道に出来る悪性腫瘍を総称して、胆道がんといい、部位によって、5つ(肝内胆管がん、肝門部領域胆管がん、遠位胆管がん、胆嚢がん、十二指腸乳頭部がん)に分かれます(図1)。

臨床症状

胆道がんの初発症状は胆道閉塞による黄疸が約90%と最も多く認められ、次いで体重減少(約35%)、腹痛(約30%)などです。

診断

胆道がんの診断に関しては、まず血液検査(腫瘍マーカー: CEA、CA19-9)と腹部超音波検査がファーストステップとして行われます。次にセカンドステップとして血管造影ダイナミックCTやMRI検査などを行い診断します。さらにサードステップとして内視鏡的逆行性直接胆道造影(ERC)、経口胆道鏡(POPS)、管腔内超音波検査法(IDUS)を行い病変の広がりを確認します。確定診断については、ERCやPOPSを利用して、直接胆管腫瘍生検を行ったり、肝内胆管がんの場合は、超音波下腫瘍針生検を行うことで、病理学的に診断します。また遠隔転移やリンパ節転移の診断にはPET-CT検査にて行います。

手術

手術においては、肝内胆管がんや肝門部領域胆管がんは肝切除が必要となりますが、一方、遠位胆管がんや十二指腸乳頭部がんは、膵頭十二指腸切除が基本術式となり、部位によって術式が大きく異なります。また近年は低侵襲外科手術が盛んに行われており、当科でも2021年から血管浸潤のない早期の遠位胆管がんや十二指腸乳頭部がんに対して、ロボット膵頭十二指腸切除を積極的に施行しています。

化学療法

胆道がんに対しては、ゲムシタビン、シスプラチン、テガフール・ギメラシル・オテラシルカリウム配合薬(S-1)が単剤または、多剤併用で術前及び術後に使用されるのが一般的です。また最近では、限られた患者さんに対してのみですが、分子標的薬(癌の原因となっているタンパク質などの特定の分子にだけ作用するように設計された治療薬のこと)を使用することもあります。

治療成績

表2には、三重大学医学部附属病院 肝胆膵・移植外科で、2014〜2023年の10年間に行った胆道がん切除数を、部位別に示しています。
また図1には、胆道がんの部位別の5年生存率を示します。当科では、積極的に進行がんに対して術前化学療法の導入を行い、また形成外科等の協力のもと血管合併切除再建を行うことで、切除率の向上と、予後の改善を認めています。

(表1) 胆道がん手術症例の推移 / 2014〜2023

2014年 2015年 2016年 2017年 2018年 2019年 2020年 2021年 2022年 2023年  合計 
肝内胆管がん 3 4 3 4 6 3 3 5 7(1) 4(2) 42
肝門部領域胆管がん 5 4 5 7 7 8 12 8 5 14 75
遠位胆管がん 6 2 9 2 9 6 9 5(1) 5(2) 8 61
胆嚢がん 3 4 10 8 4 7 3 4 2 3(2) 48
十二指腸乳頭部がん 2 2 4 6 1 1 2 6(6) 3(3) 9(6) 36
合計 19 16 31 27 27 25 29 28 22 38 262

( ): うちロボット手術などの低侵襲手術数

(図2) 胆道がん手術例の全生存期間(予後) / 2014〜2023

胆道がんでお困りの方や、セカンドオピニオン希望の患者さまについては、随時受付を行っておりますので、お問い合わせください。